介護福祉士の特例措置 福祉人材委で意見割れる〈厚労省〉
2025年10月27日 福祉新聞編集部
厚生労働省の社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会(委員長=松原由美早稲田大教授)が20日に開かれ、介護福祉士養成施設の卒業生が国家試験に不合格でも資格を取得できる特例の経過措置について議論した。
養成施設の卒業者は法律上、国家試験に合格しなければ介護福祉士にはなれない。しかし、現在は合格しなくても現場で働けば資格が持てる経過措置が設けられている。当初は2021年度までだったが、26年度まで延長された。
会合で厚労省は25年4月時点で経過措置の登録者が5774人だったと説明。このうち、試験に合格して資格を取得したのは1576人、実務経験5年により資格を取得したのは1024人だったことなどを明らかにした。 また、24年度における養成施設ルートの国家試験合格率について、留学生以外は96%だったが、留学生は48%と開きがあった。
こうした中、日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は経過措置の終了を求め「議論を終わらせることが、介護人材確保策で何よりも重要だ」と強調した。
これに対し、日本介護福祉士養成施設協会の小笠原靖治理事は「経過措置を延長しながら量を確保しつつ、質を上げるのが最善ではないか」と主張。「介護保険料を支払っても人材不足によりサービスができなければ制度の根幹に関わる」などと述べた。
一方、全国社会福祉法人経営者協議会の山田雅人副会長は「経過措置の延長は二者択一的な議論に終始するべきではない」と指摘し、留学生の日本語支援や在留期間の見直しなどにも力を入れるべきだと訴えた。ただ、来年度の入学生に支障が出始めるという時間的な問題もあるとして、現実的に今回は短期で経過措置を延長することを提案した。

