障害者施設、利用者の意思尊重 厚労省検討会が議論まとめ案

2025年0925 福祉新聞編集部

厚生労働省の「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」(座長=小澤温筑波大名誉教授)が16日に開かれ、議論の取りまとめ案を固めた。施設のあるべき姿を「利用者の意思・希望の尊重」「地域移行を支援する機能」など四つの柱に整理した。厚労省は文言調整を行い、早期に正式にまとめる。

意思・希望の尊重では、どこで誰とどのように生活したいか、本人の意思決定を支援することが重要だとし、そのために分かりやすく情報を提供し、意思を表明しやすいよう配慮する。多様な体験や経験を通じた選択の機会も確保する。

地域移行支援では、個々のアセスメントに基づいて活動内容を将来の地域移行を見据えたものにする。市町村などによる地域の受け皿の整備、施設と外部の関係者との連携、地域移行後の施設のフォローも求められる。

そのほかの柱には地域生活が困難になった場合の一時入所など「地域生活を支えるセーフティーネット機能」と、特別な配慮が必要な障害への対応と暮らしの質向上に取り組む「専門的支援と生活環境」を位置付けた。

また、検討会では2027年度からの第8期障害福祉計画についても議論。取りまとめ案では、引き続き、地域移行者数や施設入所者数について削減目標値を設定することを求めた。入所待機者のニーズ把握については、自治体間で入所待機者の考え方などが異なるため、各自治体の実情に応じて行う必要があるとし、今後も対応を検討することとした。

障害者支援施設の在り方をめぐっては、昨年度の調査研究を踏まえて、検討会が5月から議論を重ねてきた。議論の取りまとめは、第8期障害福祉計画を検討する社会保障審議会障害者部会で生かされる。

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