養育費もらわず7割 フードパントリー利用者調査〈明治大〉
2025年09月14日 福祉新聞編集部
埼玉県で食料支援の団体を利用するひとり親世帯で、離婚した人の7割が養育費を受け取っていないことが、明治大専門職大学院の調査で分かった。年収は約半数が200万円未満で、不安定な雇用が半数以上を占めた。同大学院は養育費に関する法制度の強化による直接的な経済的支援が必要だと訴えている。
調査は2024年5~8月にかけて、同大学院の大山典宏専任教授らが埼玉で食料支援を行うフードパントリーネットワークに加盟する52団体と協力して実施。利用する2993世帯のうち、1485世帯が回答した(有効回答率50%)。内訳は母子世帯が87%、父子世帯が1%、祖父母と同居などその他世帯が12%だった。
回答者のうち、離婚しているのは77%。このうち、養育費について「取り決めをしているが、受け取っていない」が29%、「取り決めをしておらず、受け取っていない」が36%と、7割が養育費を受け取っていなかった。
回答者で働いていたのは80%。ただ、正社員は28%にとどまり、嘱託やパート、自営業など不安定な働き方が53%と多数を占めた。
世帯年収は、200万円未満(49%)が最多で、200万~400万円未満(44%)、400万~600万円未満が6%だった。
支援制度の利用状況は就学援助(64%)と児童扶養手当(82%)の利用率が高い。一方、生活保護や生活困窮者の自立支援相談窓口などは「利用したことがない」が9割を占めた。
現在の暮らしが苦しいと感じているのは7割。過去1年間に必要な食料が買えなかったのは6割で、7人に1人が公共料金の未払い経験があった。さらに5割がうつなどの心理的苦痛を感じていた。
結果を受け大山教授は「養育費に関する法制度の強化など直接的な経済的支援が必要だ」と指摘。「積極的に福祉制度などの情報提供と申請手続きの簡素化を進めることで、支援が必要な人に確実に届くよう改善する必要がある」としている。