人材紹介手数料、介護、保育は平均80万円超 福岡県経営協が独自調査

2025年0812 福祉新聞編集部
施設で働く職員が利用者の生活を支えている=社会福祉法人小石原福祉会提供

人材紹介会社に支払う手数料をめぐり、福岡県社会福祉法人経営者協議会(会長=木髙徳典社会福祉法人光輪会理事長)は初の実態調査を行った。常勤1人当たりの平均紹介手数料(2023年度)は介護福祉士87万円、保育士81万円で、厚生労働省が公表する全国平均(介護54万円、保育63万円)を大きく上回った。1人当たり100万円以上支払うケースもみられ、23年度に支払った紹介手数料の総額は特別養護老人ホーム2億1014万円、保育所1億357万円に上った。

深刻な人手不足を背景に紹介会社を頼る福祉施設も少なくない一方、高額な手数料の支払いが介護施設などの経営を圧迫することが問題視されている。

「福祉サービスの報酬や委託費は税や保険料で賄われており、利用者や職員の処遇に充てられるものが、高額な紹介手数料として流出するのは問題だ」――。

県経営協は人材紹介会社の活用状況について、昨年6月に県内の種別団体を通じて特養320施設、保育所1009施設に調査を依頼。特養158施設(50%)、保育所273施設(27%)から回答を得た。

結果によると、保育所28%、特養20%が地域にニーズがある反面、人手不足により定員割れしていたことが分かった。

こうした状況を背景に、紹介会社を活用したことがあるのは特養68%、保育所49%に上った。高額な手数料を支払って確保したにもかかわらず、常勤の保育士25%、介護職員18%が半年以内に退職していたことも判明。職員の質に必ずしも満足していないものの、深刻な人手不足から特養、保育所ともに8割が、今後も「(紹介会社の)利用はやむを得ない」と考えていた。

お祝い金、転職勧奨の禁止や手数料実績の公開義務化など、厚労省による紹介会社への規制強化について、特養と保育それぞれ6割が「期待できない」と回答していた。

調査に携わった県経営協制度・政策委員会の三笠直樹特養吉富鳳寿園施設長(吉富町、社会福祉法人緑風会)によると、自由記述では「業務停止など重い処分を課さない限り改善は難しい」「公的人材紹介の機能強化が必要」などの意見が寄せられた。

三笠施設長は「経営協として県に結果の報告書を提出した。今後、自治体と協議する際は調査結果をエビデンスとして示し、実態を知ってもらい、官民一体で人材確保策を進めたい」と話した。

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