介護福祉士の試験義務化 福祉人材委員会、経過措置で意見割れる〈厚労省〉

2025年0616 福祉新聞編集部

厚生労働省の社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会(委員長=松原由美早稲田大教授)が9日に開かれ、関係団体からヒアリングした。介護福祉士国家試験の義務化に関する経過措置について議論。予定通り2026年度で廃止するのか、延長するのかで意見が分かれた。

介護福祉士の取得方法をめぐっては、法律上養成施設を卒業して国家試験に合格する必要がある。しかし現在は、国家試験に合格しなくても資格が取れる経過措置が設けられている。当初は21年度までの措置だったが、深刻な人材不足を踏まえて26年度まで延長された。

日本介護福祉士養成施設協会(介養協)によると、全国に330カ所ある介護福祉士養成施設の24年度の定員は計1万4000人で、いずれも減少傾向にある。入学者は7400人で充足率は53%。入学者で留学生は3600人だ。

介養協の小笠原靖治理事は、養成施設の留学生が増加傾向にあるとして経過措置の延長を求めた。仮に廃止されれば他国に人材が流出し養成施設の閉校も増えることで、日本で介護を学ぶ場が失われると危機感を示した。

同様に全国老人保健施設協会の光山誠理事も「経過措置の終了は時期尚早」と訴え、養成校の廃業に歯止めが掛からなくなると強調。外国人の国家試験合格率を日本人並みに上げることを条件に経過措置の延長を求めた。

これに対し、日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は経過措置について「有資格者の誇りを失わせており、国民に信頼してもらえる資格にすべき」と指摘。先送りしても人手不足は解決していないとして「現実に区切りをつけるべき」と述べた。

同様に日本社会福祉士会の西島善久会長は「介護福祉士の質を担保するためにも、さらなる延長はすべきではない」と話し、25年度から導入される「パート合格制度」の活用を優先すべきと訴えた。

日本ソーシャルワーク教育学校連盟の中村和彦会長も「有資格者の専門性が社会的に評価されることが、若者の就労意向に影響を及ぼしている」と述べ、資格の信頼性を高めるためにも、経過措置の延長を否定した。

同委員会は、厚労省が高齢化に伴う介護サービス需要がピークとなる40年に向けて立ち上げた検討会の中間まとめを踏まえ、議論するもの。今秋までに取りまとめを行う。

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