ハンセン病、偏見差別が依然深刻 人権教育の検証必要〈厚労省〉
2025年04月14日 福祉新聞編集部
厚生労働省は4月4日、ハンセン病に関する2024年度全国意識調査報告書を公表した。「現在ハンセン病元患者や家族に対する偏見差別があると思う」との回答が7割弱あり、依然として深刻な状況にあるとした。国の人権教育、啓発活動が国民にほとんど届いていない可能性を指摘。多面的な検証を早急に行い、厚労、法務、文部科学省が統一的な施策を継続して進める必要があるとした。
調査は23年度に続いて2回目。24年11~12月に18~79歳の3000人を対象に行った(回答率40%)。ハンセン病はらい菌による感染症。感染力は弱く薬で治せて遺伝もしないが、かつて不治の病という誤認識により療養所への強制隔離が行われた。国はハンセン病元患者に謝罪し、賠償金の支給、偏見差別の解消などに取り組んでいる。
23年度調査同様、ハンセン病の認知度は9割弱と高い。しかし、正しい知識を聞くと「遺伝しない」ことは6割弱が理解していたが、「早めに治療すれば後遺症もなく治る」「感染しても発症することはまれ」は1割強しか知っておらず、5割弱は「分からない」と答えた。
また、「ハンセン病患者を療養所に強制隔離したことは、治療法が確立された後であってもやむを得なかった」という誤りを支持する傾向の回答も1割あった。
学習・啓発について聞くと「受けたことはない」が6割弱、「はっきり覚えていない」が3割強あった。国が行う啓発活動(シンポジウム、パンフレット、資料館)に参加した経験は1割にも満たなかった。