介護関係者にヒアリング 厚労省、40年に向けた検討会

2025年0215 福祉新聞編集部

厚生労働省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(座長=野口晴子早稲田大教授)が10日に開かれ、介護関係者からヒアリングを行った。

会合では、社会福祉法人友愛十字会の鈴木健太介護生産性向上推進室長が登壇。東京都世田谷区の特別養護老人ホーム「砧ホーム」で16年から導入を進めている介護テクノロジーの効果について説明した。

人材不足が課題だった同ホームは、パラマウントベッドが提供する見守りセンサー「眠りSCAN」を全60床で導入。インカムや介護報酬請求をサポートするシステムなども取り入れた。

その結果、20年4月から3年連続で常勤介護職員の離職率がゼロになったという。職員の年間休日も140日以上だった。

会合で鈴木室長は、導入で最も大事なのは行動指針の徹底だと強調。厚労省のガイドラインをバイブルに掲げ、職員の理解を進めたのも成功の要因だと訴えた。その上で「改善によって生まれた時間は、研修や有給消化など投資に充てることで、さらに質の高いサービスを目指したい」と語った。

続けて介護労働安定センターの北條憲一事務局長は、介護分野の生産性向上は、加算を取得して収入を増やし、人件費以外のコストを下げ、職員の処遇を上げることだと説明。「介護テクノロジーを導入すれば、必ず業務が効率化するわけではない。職員の意識改革も必要」と述べた。

また、今後は労働時間の短縮や職員定着など雇用管理改善も重要だと強調。介護事業者への経営支援については、都道府県が福祉医療機構(WAM)などと連携しながら積極的に役割を果たすべきではないかと提案した。