物価高で精神的負荷大 あしなが育英会が保護者調査

2024年1006 福祉新聞編集部
あしなが育英会発表資料より

あしなが育英会(玉井義臣会長)が7月に全奨学生の保護者を対象に行った調査で、94%が物価上昇分を補う収入増加がなく、苦しい生活を強いられ、精神的な負荷も大きくなっていることが分かった。9月19日に厚生労働省で会見した玉井会長は「貧困の裏にもっとひどい貧しさがあり、子の将来を奪ってしまっていることを強く訴えたい」と話した。

調査は3017件の回答を集計した(回答率60%)。保護者の8割は母親。就労している人は7割で、そのうち正社員が3割、パート、契約・派遣社員が6割。世帯所得は7割が300万円未満だった。

昨年の同時期と比べて収入が増えた人は15%にとどまり、28%が減った。就労中の人に限定しても24%で収入が減っていた。収入が増えて物価上昇分を補えている人はわずか3%だった。

物価上昇のために節約していることは食費が最も多く、被服・美容代、光熱水費と続く。

自由記述からは1日1食、冷房の不使用などにより体調不良になったり、通院費を工面できなかったりして、健康被害につながっているケースも見られた。

育英会は「奨学生の保護者は配偶者に先立たれたり、重度の障害があったりして、もともと精神的負荷を抱えている中、過度な節約によるストレス、こどもに我慢をさせてしまっているプレッシャーなどにより大きな精神的負荷を受けている」としている。