「支援金財源は目的外使用」 子ども・子育て支援法審議入り

2024年0605 福祉新聞編集部

少子化対策の強化を目指す子ども・子育て支援法等改正案が5月21日、参議院内閣委員会で実質審議入りした。財源として新たに公的医療保険に上乗せして徴収する子ども・子育て支援金制度については、与党からも「目的外使用ではないか」との声が上がった。

最初に質問した自民党の衛藤晟一議員は、政府が策定したこども未来戦略について、自民党少子化対策調査会の提言をほとんど盛り込んでいるとして「大きな評価ができる」と述べた。

一方、財源については「医療保険から徴収するのは原理的な整合性が保てない」と話し、目的外使用に当たるのではないかと指摘。「〝こども保険〟を別途つくって保険料率を決めるならいいが、勝手に医療保険から持っていくのは納得できない」と訴えた。

「介護保険も同様」

これについて、こども家庭庁の熊木正人長官官房支援金制度等準備室長は「介護保険も同様の構成だ。医療保険と合わせて支援金を徴収して、こどものために使う。しっかり区分する仕組みを説明していきたい」と理解を求めた。

また衛藤議員は、財源捻出に向けた社会保障費の歳出改革についても、これまで行ってきたとして「相当むちゃな話ではないか」と強調。「今後本気で与野党ともに財源をめぐる意見交換をしていかなければ、とても切り抜けられる問題ではない」と呼び掛けた。

このほか、立憲民主党の杉尾秀哉議員は「若い世代の負担率が上がっているから、そもそも結婚できないのが現状だ」とし、支援金制度が現役世代にとって負担が偏っていると主張した。

日本維新の会の柴田巧議員も支援金の大きな問題の一つは給付と負担の関係性が希薄ということだと指摘し、「現役世代から取りやすい形の社会保険料であれば、増額しても構わないという政府のゆがんだ強い意思を感じる」と訴えた。