救助の種類に福祉追加 災害対策基本法など改正案成立
2025年06月01日 福祉新聞編集部
災害時の避難生活に配慮の必要な高齢者らに対し、福祉支援の拡充を柱とした災害対策基本法などの改正案が5月28日、参議院本会議で可決、成立した。避難所だけでなく、在宅避難や自家用車で車中泊する人にも福祉サービスが届くよう自治体に努力義務を課す。施行は一部を除き、公布日から3カ月以内。
避難生活で心身に不調をきたして死亡する「災害関連死」を防ぐことが狙い。改正案は災害対策基本法、災害救助法それぞれに「福祉サービスの提供」を明記したが、サービスの対象者や内容が不明瞭だとの指摘が審議過程であった。
そこで衆院、参院それぞれの付帯決議は、必要とする人に適切な福祉サービスが提供されるようガイドライン(指針)を整備するよう政府に求めた。
適切な福祉サービスの提供をめぐり、参院の付帯決議はDWAT(災害派遣福祉チーム)への情報提供や、DWAT間の情報連携に必要な環境を整えるよう政府に求めた。
被災者援護に登録制度
改正案のもう一つの柱は、災害時にボランティア活動する団体を事前に国に登録する「被災者援護協力団体登録制度」の創設だ。市町村が登録団体に被災者の個人情報を提供できるようにするほか、炊き出しなどをした登録団体に実費を支払えるようにする。
同制度をめぐっては、登録団体になれない事由(役員の欠格条項)の一つに「心身の障害により被災者援護業務を適正にできない者として内閣府令で定める者」がある点が障害者差別だと問題視された。衆院、参院とも削除を求める修正案が提出されたが否決された。
この点は障害者を一律に排除しないよう、内閣府令でより狭く規定する旨を政府が答弁し、衆参の付帯決議は障害者団体の意見を聴取して定めるよう政府に念を押した。