福祉団体が報酬改定アップを要望 自民党政策懇談会で
2023年11月20日 福祉新聞編集部自民党の予算・税制等に関する政策懇談会が7日、非公開で開かれた。予算編成のこの時期に毎年行われているもので、福祉関係団体からは介護報酬など公的価格の引き上げを求める声が相次いだ。
高齢、障害、こども分野など20団体が所属する全国社会福祉協議会政策委員会からは、平田直之委員長と金井正人・全社協常務理事が出席。物価の高騰を背景に、介護や障害福祉の報酬や保育の公定価格の引き上げを求めた。
具体的な根拠として、2022年度に電気代などの高騰で1施設当たり940万円の負担増になったという全国社会福祉法人経営者協議会の調査を紹介。一方、政府の補助は平均で1施設160万円だった。
平田委員長は「公的価格で経営する我々にとって、物価高騰の影響は大きく、価格転嫁もできない」と述べ、継続的な財政支援を求めた。
また、働く職員の処遇改善も要請した。今回の春闘で全産業が3・58%も処遇が上がっており、このままでは月に介護で8万円、保育で5万円以上の差になるという。
さらに全国の社協が2年半にわたり行った生活福祉資金のコロナ特例が382万件に上ったと説明し、今後償還に向けた相談支援体制の強化が必要だと指摘。職員の正規化や増員に向けた財政措置を求めた。
一方、政府は3兆円台半ばに上る少子化対策の財源について、歳出改革を原則とする方針を示してきた。この点について平田委員長は「次期報酬改定がターゲットになるのではと懸念している」とクギを刺した。
また、全国社会福祉法人政治連盟の櫛田匠会長も同様に、処遇改善や公的価格の引き上げを要望。建物の修繕や建て替え費用も確保できないと訴えた。
会合には、シルバーサービス振興会や全国介護事業者政治連盟、日本福祉用具・生活支援用具協会も出席した。