高齢の新規受刑者増 村木元次官「福祉とつながるの困難」〈再犯防止白書〉

2022年1227 福祉新聞編集部

 政府は12月13日、再犯防止推進白書を閣議決定した。2021年の新規受刑者に占める65歳以上の割合は13・8%、精神障害のある人の占める割合は15・3%で、いずれも増加傾向にあることが分かった。

 

 再犯防止をめぐる法務省検討会委員の村木厚子・元厚生労働事務次官は白書の中で「単に施策の効果が上がっていないというよりも、高齢者や障害のある人が社会で福祉につながることの難しさを物語っている」と分析した。

 

 20年に刑務所を出所した人全体のうち、2年以内に再入所した人の割合(再入率)は15・1%で、16%以下にするとした目標を2年連続で達成した。

 

 一方、出所時に65歳以上だった受刑者に限ると、2年以内の再入率は20・7%と高い。頼れる身寄りがなかったり、住まいや仕事を探すのが困難だったりすることが背景にあるとみられている。

 

 白書は「再犯防止推進計画策定後の課題と今後の展望~当事者の声とともに振り返る」と題した特集を組み、薬物依存症の経験者や矯正施設への入所を繰り返した人が実名で体験を語った。

 

 再犯防止推進法に基づく政府の再犯防止推進計画は17年12月に閣議決定され、今年度が最終年度。23年度からの計画(5カ年)案は法務省が年内にもまとめ、政府が今年度内に閣議決定する。

 

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