社協と企業が連携し引きこもり支援 就労体験から就職につなぐ

2022年0707 福祉新聞編集部
トウガラシのへた取りをする参加者=奥出雲町社協提供

 島根県奥出雲町社会福祉協議会は、地元企業と連携した独自の引きこもり支援「つなぐ」を展開している。家の外へ一歩踏み出すきっかけになればと、3年前から企業と協力して簡単な就労体験を定期的に行う場を設けており、これまでに4人が就職に結びついている。

 

 町社協は引きこもりの実態把握も兼ね、2015~17年にかけて全戸訪問を実施し、引きこもりと言われる状況の人が少なくとも44人いることが分かった。相談窓口の設置など、これまでも引きこもり支援に取り組んできたが、定期的に家の外へ出る機会をつくることも必要だと判断し、企業連携型の引きこもり支援事業「つなぐ」を考案した。

 

 19年に連携協定を地元建設業者と締結し、事業をスタートさせた。リサイクル企業や、牧場を経営する農事組合法人などからも「協力したい」との申し出があり、6月現在、連携企業は計4社まで増えている。

 

 参加者は週2、3日2時間半程度、連携企業から提供される就労体験として、トウガラシのへた取り、牛や馬の世話、事務所の清掃、工事用看板の文字作成などの活動をしている。「よく来てくださいましたね」との思いを込め、活動応援金として1時間500円(連携企業と赤い羽根共同募金から捻出)を支給している。

 

 活動場所までの送迎は、町社協が養成している「ひきこもりサポーター」や社協職員が担当。サポーターは現場で参加者の様子を見守り、他人と関わることにも慣れてもらっている。

 

 「つなぐ」の参加者は最も多い時でおよそ10人いたが、4人が就労に至るなど現在は20~60代の5人が活動している。町社協の担当者は「一度参加すると継続する人が大半。表情もなく話し掛けてもうなずくだけだった参加者の表情に変化が見られたり、一言二言話しをしたりと、良い変化がみられた」という。

 

 町社協が21年度末時点で把握している引きこもり状態の人は95人。「いつでも利用してもらえるよう、事業を多角的に展開していくことが何より重要。参加者をサポートしてくれるひきこもりサポーターの養成にも力を入れたい」と話している。

 

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