児童養護施設のオンライン見学フェア 就職目指す人対象に

2024年0518 福祉新聞編集部

NPO法人チャイボラ(大山遥代表理事)は11日から6回に分けて、児童養護施設などへの就職を目指す人を対象にした見学フェアをオンラインで開催した。こども家庭庁が行う社会的養護魅力発信等事業の一環。地域ごとに開催し、児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設などが参加した。

12日に開かれた北海道・東北のフェアでは冒頭で、大山代表がクイズ形式で施設の役割や児童虐待の現状などを説明。その後、参加者は施設ごとに分かれて、話を聞いた。

出席した山形県の児童養護施設「七窪思恩園」は、岐阜県にある日本児童育成園の分院として1929年に設立。現在、約50人のこどもが暮らす。

増田康平・同施設長は、平均で有給休暇の取得が12日ほどあり、勤続年数も11年と長い状況を説明。「定着あっての人材育成だ」と述べ、キャリアアップへのさまざまな研修を取り入れていると強調した。その上で「私も退職を考えたことはあるが、いつの間にか施設長になっていた。皆でこどもを支えられたら」などと呼び掛け、仕事のやりがいを語った。

55年設立の秋田の児童養護施設「陽清学園」は、地域小規模児童養護施設も含めて約40人が暮らす。

児童指導員の畠山太ひろ伸たださんは、職員の平均年齢が45歳とベテランが多く、新卒職員をバックアップする体制が十分にあると説明。今年度は新卒を3人採用したという。

また、1年目に担当した中学1年生が不登校だったエピソードを披露。1年にわたり寄り添い続けたところ、突然学校に毎日行くようになり、3年時には部活動の主力メンバーになったという。「さまざまな特性のあるこどもも増えているが、成長を考えるのは何にも代え難い」と語り掛けた。

チャイボラは、児童養護施設の非常勤職員でもあった大山代表が2018年に設立。施設の情報を無料で紹介する総合情報サイト「チャボナビ」のほか、研修事業などを運営している。