生活福祉資金特例貸付の返済、3カ月で113億円 

2023年0605 福祉新聞編集部

 厚生労働省はこのほど、新型コロナウイルス感染症に伴う生活福祉資金の特例貸付の状況をまとめた。今年1~3月における償還対象のうち約4割が免除になり、実際に返済されたのは113億円に上ることが明らかになった。

 

 新型コロナにより収入が下がった世帯への支援策として政府は、生活福祉資金に特例を設けて対応。市区町村の社会福祉協議会が窓口を担い、2020年3月~22年9月にかけて実施したところ、特例貸付の決定は382万3000件で、総額1兆4431億円に上った。

 

 23年1月から返済の対象となったのは259万9290件だった。このうち、住民税が非課税であることを理由に免除となったのは90万5445件。死亡や住所不明などによる免除が3万8252件に上った。このため、全体の36%が免除になったことになる。

 

 また、免除の要件は満たさないものの、返済が難しいと判断されて償還猶予になったケースが5万4973件あった。

 

 一方、返済の実績をみると、1月からの償還対象は152万5582件で、総額298億7200万円を予定。このうち、実際に返済されたのは67万8552件で、金額は113億2600円だった。返済金額の割合は38%となっている。

 

 なお、22年12月までに償還したケースもあり、51億円に上った。

 

 特例貸付の償還免除について厚労省は、21年度または22年度の住民税が非課税であることなどを要件に掲げていた。今年5月には、市区町村社協などが生活再建を検討しても償還の見込みがない場合は、都道府県社協会長の職権で免除できることなどを盛り込んだ事務連絡を出した。

 

 厚労省社会・援護局生活困窮者自立支援室は「猶予期間中や償還免除後でも生活が困窮している世帯には、引き続き市町村社協や自立相談支援機関が、就労支援や家計改善支援などを通じて支えていただきたい」と話している。

 

 福祉資金コロナ特例=コロナの影響で収入が減少した人を対象にした困窮者支援策。市区町村社協が窓口となり20年3月~22年9月まで実施した。一時的な生活費を貸す「緊急小口資金」(最大20万円)と、生活再建の資金を貸す「総合支援資金」(最大9カ月で180万円)の2種類あり、最大200万円。22年3月までに申請した緊急小口と総合資金(初回)については今年1月から償還が始まった。

 

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