負担増の結論先送り 介護保険部会が意見書
2022年12月26日 福祉新聞編集部厚生労働省の「社会保障審議会介護保険部会」(座長=菊池馨実・早稲田大法学学術院教授)は12月20日、2024年度の制度改正に向けた意見書をまとめた。焦点だった給付と負担に関しては大半が来夏以降に結論が先送りされた。今後、関連データの集計や見直しによる影響などを分析して議論を深めていく。
個々の所得に応じて負担する「応能負担」を強化するため、1号介護保険料の標準所得段階(現行は9段階)の拡大と、利用者負担2割の対象者(現行は単身世帯で年収280万円以上など)の拡大について、24年度からの第9期介護保険事業計画に間に合うよう、引き続き同部会で議論し、来夏までに結論を得る。利用者負担の3割対象者の拡大は今回は行わない見込み。
老人保健施設と介護医療院の多床室の室料負担導入は、社保審介護給付費分科会で議論し、第9期計画に向けて結論を出す。
介護事業者団体などが反対した、軽度者(要介護1、2)の生活援助サービスなどの地域支援事業への移行と、ケアプランの有料化は、27年度からの第10期計画の開始までに結論を出すとした。
通所と訪問の複合型を創設
特別養護老人ホームに関しては、空床や特例入所の実態を早急に把握した上で適切な運用を図り、医療ニーズへの対応について報酬上の扱いも含めて引き続き検討する。
また、ホームヘルパーの人材不足が深刻なことから、通所介護事業所が訪問介護サービスを提供するなど複合型のサービス類型を創設する。地域包括支援センターの負担を減らすため、要支援者にサービス計画を作成する介護予防支援業務の指定対象を拡大し、居宅介護支援事業所なども認める。
一方、介護情報の標準化や情報連携の基盤づくりを進め、利用者や介護事業者などが利活用できるようにする。現在構築に向けて取り組んでいる「全国医療情報プラットフォーム」への介護情報収集・提供は市町村の地域支援事業に位置付ける。
19日の同部会で大西証史・老健局長は「見直し内容の実現に向けて法改正、報酬改定の検討、予算上の対応などをしっかり進めていく」と述べた。