ダウン症の若者や高齢者が関西万博でコンサート
2025年05月19日 福祉新聞編集部
ダウン症の息子に音楽の喜びを届けたいとドイツの農場主、ヘルマン・フェーさんが1987年に考案した楽器「ヘルマンハープ」の演奏会が4月27日、大阪・関西万博のフェスティバル・ステーションで3部構成によって開かれた。
ヘルマンハープは、弦の下に楽譜を差し込み、音符をなぞって弾くだけで、だれでも簡単にメロディーを奏でられる。
主催は日本ヘルマンハープ社。公益財団法人日本ダウン症協会や大阪・神戸ドイツ総領事館などが後援した。
日本では、滞在中のドイツでヘルマンハープに出合った梶原千沙都さんが2004年から普及を始め、日本ヘルマンハープ振興会を設立して会長となり、これまでに全国で約6000人の愛好家が育っている。
第1部では、障害の有無を超えて約30人で編成された「バリアフリーオーケストラ」が「歓喜の歌」など3曲を演奏。第2部では、70歳以上の約30人による「輝くシニアオーケストラ」が、阪神淡路大震災後に生まれた心の復興ソング『しあわせ運べるように』など3曲を披露した。
フィナーレの第3部では、千沙都さんが作詞した「会えるそのときまで」を、ヘルマンハープ奏者、チェロ奏者、コーラスと共に熱唱した。
ダウン症の若者は、ステージ上のインタビューで、「(ヘルマンハープの音色は)波のように優しい気持ち」。ヘルマンハープ奏者になった若者の母親は「息子の生活にリズムができた。自信を持って披露するものが一つ増えました」と話した。
悪性リンパ腫を克服したシニアオーケストラの女性は、「がんサバイバーとして、『未来を動かす』祭事である万博の場から、世界に医療の素晴らしさを発信したい」。万博のサブテーマ「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」にぴったりの、EXPOスペシャルコンサートになった。