福祉新聞フォーラム直前特集 連携法人で経営効率化(山本社会・援護局長)
2021年11月01日 福祉新聞編集部急激な国内の人口構造の変化に対して、全国に2万法人ある社会福祉法人がどう備えるべきかをお話ししたいと思っています。
2019年に1億2617万人だった人口は、40年に1億1092万人と1500万人以上も減少する見込みです。同時に働き手となる20~64歳は今後20年で1300万人も減るなど大きな課題が待ち構えています。
今後は高齢者人口も減る地域が出てきます。これまで右肩上がりだった福祉サービス利用者が減る局面に入るということです。また地縁血縁など共同体機能が脆弱化し、福祉ニーズが複雑化する問題も起きるでしょう。
そうした将来を見据え、社会福祉法人には今から地域の実情に応じた経営基盤の強化が必要になっています。方策の一つが法人合併です。
これまで厚生労働省は法人制度改革を進めており、合併に関する規定も整備しました。その結果、19年度の合併は過去最高の29件に上りました。理由は業績不振が最多の85%と非常に深刻な状況です。
また、いよいよ来年4月から社会福祉連携推進法人制度がスタートします。地域の複数の法人が個々の経営の自主性を確保しつつ、事務処理や人材の採用・育成、物資の調達を行いやすくして経営の効率化を図るなど、大規模法人のメリットを享受できるようにするものです。
フォーラムでは、そうした狙いや具体例なども含めてお話ししたいと思っています。また、既存の相談支援の取り組みを生かしつつ、地域ニーズに対応するための「重層的支援体制整備事業」についても説明する予定です。
社会福祉法人には今後、専門性を生かして、住民に身近な圏域で地域共生社会の実現のための地域づくりを担う非営利セクターの中核となることが期待されています。高齢・障害・児童・保育など種別を問わず、多くの社会福祉法人の方々に、厚労省として今考えていることをお伝えできればと思っております。
【やまもと・まり】 1987年、旧厚生省入省。桑名市副市長、厚労省社会・援護局総務課長、内閣官房内閣審議官(厚労省雇用均等・児童家庭局併任)などを経て現職。