社会福祉法改正に着手へ 身寄りない高齢者らに対応 厚労省社会・援護局長が講演

2024年0620 福祉新聞編集部
朝川局長

医療・福祉フォーラム「社会福祉法人の新たな経営戦略」が6日、東京都港区の日本赤十字社で開かれた。基調講演した朝川知昭厚生労働省社会・援護局長は、身寄りのない高齢者への支援強化や成年後見制度の見直しに向けた民法改正の議論に合わせて、社会福祉法を改正することを明言。「今月下旬に検討会を開き、2026年に向けて議論する」と述べた。

身寄りのない高齢者が増える中、身元保証や生活支援などを行う担い手づくりが課題になっているとし、「社会福祉法人が公益性を発揮して取り組める対応を考えたい」とした。

また、成年後見制度の見直しに向けた検討が法務省で行われており、制度を利用するとやめられない仕組みの見直しや、後見人の代理権を必要な範囲に限定することなどが論点になっていると説明。「成年後見制度サイドは意思決定の支援を福祉で受け止めてほしいと考えている。福祉制度を整理したい」と述べた。

ほかに介護分野では外国人材が必要不可欠であり、長期間働いてもらうための支援が求められていること、高額な人材派遣料を払うのではなく、社会福祉連携推進法人を活用して人材獲得能力を高めることなども指摘した。

続くシンポジウムでは、職員が新しい法人理念をつくることで誇りを持って働いている社会福祉法人サン・ビジョン(名古屋市)、ISO取得で安全安心な職場づくりに取り組む社会福祉法人松美会(山口県下関市)などが実践を発表。フォーラムを主催した京極髙宣実行委員長は「やる気になれば新しいことを展開できる。経営者の考え方がこれからの時代を動かす」と語った。