コロナ特例貸付、23年の返済388億円 全社協「自立支援が重要」

2024年0424 福祉新聞編集部

新型コロナウイルス感染症に関する生活福祉資金の特例貸付について、2023年に返済されたのが388億円だったことが全国社会福祉協議会などのまとめで分かった。未回収は660億円で、償還率は4割だった。全社協は「もともと困窮者支援が制度の狙いであり、引き続きどう寄り添えるかが重要」としている。

 

新型コロナにより収入が減った世帯への支援策として政府は、生活福祉資金に特例を設けて対応。市区町村の社協が窓口を担い、20年3月~22年9月にかけて実施した。その結果、貸し付け決定は382万件で、総額1兆4400億円に上った。

 

返済は23年1月から全国で開始し、初回の償還対象は273万2638件だった。うち、住民税が非課税や死亡などを理由に免除となったのは111万84件で、償還猶予が11万1311件だった。

 

実際の償還対象債権は143万7758件で、12月までに一部でも償還したのは77万2891件と54%に上った。

 

金額をみると12月までの償還予定は1047億3300万円だったが、実際の償還は387億6800万円と37%にとどまった。

 

結果について全社協は「困窮している人を対象にした公的な制度。償還率に一喜一憂するのではなく、制度を活用した人に対して、どう寄り添って自立を支援できるかが重要だ」と話す。引き続き情報収集に取り組み、好事例の横展開を進める考えだという。

 

 


 

 

福祉資金コロナ特例 一時的な生活費を貸す「緊急小口資金」(最大20万円)と、生活再建の資金を貸す「総合支援資金」(最大9カ月で180万円)の2種類あり、最大200万円。2022年3月までに申請した緊急小口と総合資金(初回)については23年1月から償還が始まった。