一時保護なし入所推進 都が困難女性支援の計画案で意見募集 

2024年0228 福祉新聞編集部

東京都は16日、4月に施行される「困難な問題を抱える女性支援法」に基づく基本計画案を公表した。都は女性相談支援センター(現在の婦人相談所)での一時保護を経ないで女性自立支援施設(現在の婦人保護施設)に入所する「直接入所方式」を2022年度から試行してきたが、法施行後は「本人の意思を尊重した取り組みとして効果的であり、今後、推進する必要がある」とした。

 

同日から意見募集を開始しており、3月18日まで受け付ける。3月末までに4月からの5カ年計画として決定する。

 

都道府県に必置の婦人相談所にある一時保護所の運用をめぐっては、かねて改善を求める声があった。今後の都の動向が他の自治体に影響を与える可能性もある。

 

現在、施設入所にあたり、事前に一時保護を行うことは制度上必須ではないが、慣例として行われてきた。一時保護中は外部との接触を断つため、DV(配偶者からの暴力)などを理由に保護された女性は不自由な生活を強いられる。

 

施設での集団生活になじむかなどを婦人相談所が観察する目的でも一時保護が行われてきた。都の一時保護の件数は減少傾向だが、一時保護の平均在所日数は長期化しており、22年度は19・4日だった。

 

都内には現在五つの婦人保護施設があり、いずれも社会福祉法人が運営する。暮らしの制約が多い一時保護を経ずに施設入所した方が生活改善に役立つ人もいるとして5施設で試行してきた。

 

婦人保護施設は売春防止法に規定された福祉施設で、婦人相談所の措置により要保護女子が入所する。長期にわたって心身の健康の回復が必要な女性は多い半面、全国47施設の定員充足率は2割台と低く、運用改善が求められていた。

 

都の基本計画案は五つの基本目標として「包括的な支援」「本人の意思の尊重」「同伴児童の支援強化」「若年女性支援」「民間団体との協働」を掲げた。直接入所方式の推進は「本人の意思の尊重」に位置付けた。