佐賀県の2救護施設が連携 困窮者の緊急入所を実現

2024年0201 福祉新聞編集部
左からかんざき日の隈寮、しみず園の居室

佐賀県の救護施設「佐賀整肢学園・かんざき日の隈寮」(定員70人)と「しみず園」(同110人)が、生活困窮者の一時生活支援事業(独自事業)で、2022年度から連携を始めた。県内の福祉事務所や自立支援相談機関からの紹介で、主に住まいを失った生活困窮者を緊急的に受け入れる。両施設とも居室は空きスペースを活用し、定員は2人ずつ。22年度は計12人、受け入れ日数は延べ258日だった。

 

費用は食費と水道光熱費のみの実費相当で1日当たり1000円程度。利用者の都合により減免も可能で、ほとんどの人が無料で利用したという。

 

連携に当たり、まずは両施設共通の事業の要綱を「佐賀県救護施設協議会」として整備した。事業内容や対象者、受け入れ期間、費用、受け入れ時に提出する書類などを統一し、どちらの施設でもほぼ同じ支援が受けられるようにした。

 

かんざき日の隈寮の定員がいっぱいの場合は、しみず園を紹介して一時入所するといったことも可能になる。両施設が県の東西にあり、連携によって県全域をカバーできるのも強みだ。

 

要綱は福祉事務所や社会福祉協議会、自立相談支援機関などにも配布。これにより事業が広く周知され、問い合わせ件数が増えた。今年度は受け入れ件数も前年度比で大幅に増える見込み。

 

佐賀整肢学園(中尾清一郎理事長)は、1960年4月に肢体不自由児施設として設立。救護施設は2008年4月に県からの経営移譲で運営を開始した。

 

一方、しみず園は社会福祉法人天嶺会(松永啓介理事長)が1963年10月に開設。救護施設のみを運営している。

 

新型コロナの流行を転機として、生活困窮者対策で県が国の補助事業である「生活困窮者支援体制を構築するためのプラットフォーム整備事業」を開始。この枠組みの中で一時生活支援を実施することで、補助金を受けることができるようになった。

 

一時生活支援事業は、かんざき日の隈寮が16年度に単独で始めていたが、22年度から連携という形で足並みをそろえて実施することになった。

 

23年度の補助金は年額100万円。人件費をはじめ、食費、家電製品など居室の備品や水道・光熱費などに活用した。

 

補助事業は今年度までのため、24年度からは法人からの持ち出しが必要になるが、両施設とも事業を継続する方針だ。