動機の把握大きく前進 不特定者は前年の半数以下に〈自殺対策白書〉

2023年1029 福祉新聞編集部

政府は10月20日の閣議で、2023年版自殺対策白書を決定した。

 

警察庁の自殺統計原票が22年1月に見直されたことから、白書は「22年の自殺の原因・動機の不特定者は前年の半数以下となり、より多くの原因・動機を特定することが可能になった」と評価した。

 

原因・動機の把握が進むことにより、自殺を防ぐ施策に反映できるとみている。白書は男女いずれも配偶者がいない単身者の割合が高いこと、配偶者がいなくてこどものみと同居する女性は同じ状況の男性よりも割合が高いことが把握できたと報告した。

 

また、22年に亡くなった高校生352人のうち、4分の1は定時制・通信制の生徒で、女子生徒の割合が高かった。定時制・通信制では原因として「健康問題」が多いこと、通院に男女間で大きな差があることが分かったとしている。

 

統計原票の見直しは15年ぶり。原因・動機の選択肢は52種類から75種類に増え、「夫婦関係の不和(DV)」「家族・同居人からの虐待」「摂食障害」「SNS・インターネット上のトラブル」などが加わった。原因・動機を判断する根拠には「家族等による証言」を加えた。

 

自殺した人の職種の選択肢は51種類から94種類に増え、「税理士」「公認会計士」などと並んで「社会福祉専門職業従事者」が加わった。無職者の内訳には「生活保護受給者」「ひきこもり」が入った。

 

本人の属性としては「配偶者の有無」「障害者手帳の有無」「精神科・診療内科の通院・入院の有無」といった項目を追加した。

 

白書によると、22年の自殺者数は2万1881人(前年比874人増)。男性は1万4746人で13年ぶりに、女性は7135人で3年連続で増えた。小中高生は514人と過去最多となった。