東京都の「赤ちゃんポスト」、1年で預け入れ20人 賛育会は母子支援の充実求める
2026年07月11日 福祉新聞編集部
東京都墨田区の社会福祉法人賛育会(平野昭宏理事長)は2日、東京都庁で記者会見し、親が育てられない新生児を匿名で預かるベビーバスケット(赤ちゃんポスト)を、昨年から約1年間運用した結果、20人が預けられたと発表した。また、病院の一部職員だけに身元を明かしてこどもを産む内密出産は7人。会見で、賀藤均賛育会病院長は内密出産の法制化と、社会的養護の充実を訴えた。
都内外で特別養護老人ホームなど幅広く運営する賛育会は、創立100周年の節目に、改めて母子の命を守る原点に立ち返ろうと「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」を立ち上げた。ベビーバスケット、内密出産、匿名で予期せぬ妊娠に悩む人のための電話相談の3事業が柱だ。
このうち、ベビーバスケットを2025年3月31日から26年3月31日まで運用した結果、20人の乳児が預けられた。大半は出生後24時間以内の預け入れだった。
体重は2500グラム以上が14人、2500グラム未満が6人だった。身体的虐待が疑われるケースはなかったが、心疾患など先天性疾患がある乳児が2人いた。預け入れ後はちゅうちょなく立ち去るケースが多く、滞在時間は最短で30秒だったという。
母親と接触できた際に預け入れた理由を聞くと、生活困窮が最も多かった。未婚で自立していないことや、パートナーと連絡が取れないことを挙げるケースもあった。
一方、内密出産については、電話相談が59人から寄せられた。その後、実際に面談したのは20人で、うち7人が内密出産をした。
年齢は20代が4人で、10代、30代、40代以上がそれぞれ1人。職業は学生が4人、会社員が2人、アルバイトが1人で、未婚は6人だった。
相談時に臨月(37週以降)を迎えていたのは5人、妊娠後期(30~36週)は1人。母子健康手帳は全員が持っていなかった。
賛育会では内密出産の費用を原則母親の自己負担としている。支払えない場合は賛育会が立て替えており、こうした徴収不能額は255万円に上った。
賀藤院長は、自己負担にしている理由について、全国的に病院経営が厳しい中でも、取り組みが広がってほしいからだと説明。内密出産が法制化されれば、ベビーバスケットが必要なくなるとの考えも示し、乳児の命を救う意義を強調した。
その上で「ベビーバスケットや内密出産の利用を繰り返さないためにも、母親をいかにサポートするかという課題も残されている」と説明。乳児院の受け入れ体制など社会的養護の充実も訴えた。

