学校内で福祉的支援 校内居場所カフェ全国ネットワークが誕生
2024年08月26日 福祉新聞編集部学校の中で民間団体がこどもが抱える福祉的課題の解決を目指す「校内居場所カフェ」の全国ネットワークが立ち上がり、7日に初めての交流会がオンラインで開かれた。加盟したのは全国の多種多様な60団体・個人。現在地域ごとに行われている経験を共有するプラットフォームを目指している。
居場所カフェは、中退リスクの高いこどもが多く在籍する高校の教室などで、民間団体が飲み物などを無料で提供する取り組み。こどもたちと緩やかなつながりをつくることで福祉的課題を早期に発見する。卒業生を受け入れる団体もある。
2012年に大阪で始まり、現在全国に100カ所ほどあるとみられるが、正確なデータはない。また、食料品の提供や卒業生の就労支援など各地で多様化している。
任意団体として発足した同ネットは、特定の代表は置かない一方、全国6ブロックの代表団体が幹事を担う。今後、各種調査や政策提言なども実施。事務局は、ネットワーク化に向けて福祉医療機構から助成を受けたNPO法人パノラマ(石井正宏理事長)が務める。
同日の交流会では、パノラマの鈴木晶子理事が立ち上げの狙いについて「各地で蓄えられた知識と経験を共有するプラットフォームを構築できれば」と呼び掛けた。また、加盟団体が活動を紹介した。
居場所カフェは、こどもが社会に出る前から支援団体と関わるため、予防的効果が大きい。住民や卒業生を支援者に巻き込むことで、新たな資源を作ることにもなる。
課題は事業の安定性だ。各団体の財源は自治体からの委託や財団からの助成金などさまざま。年予算が200万円に満たない団体がほとんどだという。
こども家庭庁は今年度、こどもの居場所づくり支援体制強化事業に校内居場所カフェを位置付け、モデル事業として1団体500万円を計上した。だが、いずれにせよ自治体の判断が必要だ。
石井理事長は「教育困難校には保護者の抱える問題が押し寄せており、教員だけで対応できないのが現状」と指摘。「福祉的アプローチで、こども自身も気付かない困窮や虐待などの問題を顕在化させる必要性を社会に訴えたい」と話す。
同ネットには全国から導入の問い合わせが来ているという。