性犯罪歴の確認制度 現場からは歓迎の声

2024年0701 福祉新聞編集部
会見には学習塾経営者や研究者も参加した

こども性暴力防止法が6月19日、成立した。2026年度からこどもに接する職場で働く人の性犯罪歴を確認する新たな制度が始まる見通しだ。こどもを支援する現場からは防止法成立を評価する声が上がった。

「新たな制度創設を歓迎したい」と話すのは、全国児童養護施設協議会の桑原教修会長だ。社会的養護のもとで暮らすこどもの中には、虐待を受けた経験のあるこどもも少なくない。「現実的に面接では就職希望者が過去に性犯罪をしていたか分からない。二次被害は絶対にあってはならない」と指摘し、今後も支援の質向上への取り組みに力を入れる考えを示した。

また、全国母子生活支援施設協議会の荒井惠一会長も同様に「国による後押しはありがたい」と評価する。

ただ、「こどもの未来をつくるのが社会的養護の現場であり、対象とする性犯罪の範囲や期間はこれでいいのか」と疑問を投げ掛ける。今後は抑止力向上に向けて厳罰化も検討すべきだと訴えた。

制度化は、20年6月に起きたベビーシッターによる連続わいせつ事件を契機に、認定NPO法人フローレンスなどが要望活動をしてきたのがきっかけだ。

法案が成立した19日、赤坂緑・同法人代表理事は厚生労働省で記者会見し「こどもを性被害から守る大きな一歩だ」と述べた。

今後の改善点として、対象となる性犯罪歴を前科だけでなく、起訴猶予も含めるよう求めた。「こどもの証言だけで、加害者が否認した場合、起訴すらされないことが多い」と話した。

照会期間についても、もっと長い年数にすべきと主張。今後、制度の実施に向け、認定取得を希望する事業者が相談できる体制を構築することも求めた。