自分の助け方を探る 当事者研究で「今日も順調」〈みづき会・千葉〉

2026年0911 福祉新聞編集部
月に1回、敷地内のカフェで開いている研究会

 知的障害者の入所施設などを運営する社会福祉法人みづき会(樋口敦夫理事長、千葉県)は、自分の助け方を仲間と探る「当事者研究」を日常の暮らしに取り入れている。敷地内のカフェでは月1回の「研究会」を開催。職員も利用者も任意で参加し、しゃべったら持ち場に戻る。11月に当事者研究の〝愛好家〟が全国から集まる交流集会(木更津市)の事務局を担うとあって、研究に磨きをかけている。

 「部屋が片付かない」「釣りざおが折れた」―。平日午後2時からの当事者研究では、職員や利用者からこんな困り事が挙がる。他の参加者は、それに関連した自分の体験を語ったり、困り事のメカニズムを解明しようと質問したりする。

 10~20人程度が約1時間研究したら終わりだ。司会の礒部智子さんも自分の体調不良など弱みを吐き出す。地域生活支援部の副部長で法人設立時からのベテランだ。「問題は解決しないがモヤモヤは解消する」と笑う。

「安心してサボれる」

 研究の場は敷地内のカフェ「かくれんぼ」。50円で駄菓子を買えば飲み物は無料で提供される。「今日一日が明日の一日につながるため、安心してサボれるカフェです」という手書きの看板が目印だ。

 当事者研究は2001年、社会福祉法人浦河べてるの家(北海道)で編み出された対話の方法だ。「自分と困り事を切り離し、困り事を眺める」「治すよりも生かす」といった理念が各地に浸透してきた。

降りていく生き方

 競争や管理といった人間性を阻害するものをそぎ落とす「降りていく生き方」が、べてるの家のキーワード。みづき会も09年ごろに、そうした考えを方針として打ち出した。

 きっかけは統合失調症の職員を雇ったこと。できることと、できないことの差がハッキリしていた。樋口理事長は「できないことは周囲が補えばよいという考え方にシフトしたら、職員全体の離職率が下がった」と話す。

 利用者についても、目標やスケジュールで日々の暮らしを管理することをやめた。「自傷行為はほぼなくなった。問題は利用者本人ではなく、我々のやり方にあった」(樋口理事長)と言う。

11月1日に全国集会

 この夏は全職員対象の当事者研究を法人研修として実施した。11月1日に「かずさアカデミアホール」(木更津市)で当事者研究の実践発表をする全国交流集会があり、現地事務局を担うからだ。

 500人の参加を見込む今回の集会は23回目。毎年、各地の実践者が持ち回りで事務局を担ってきた。準備に追われる実行委員長の礒部さんは「苦労が多くて困るけれど、今日も順調」と前を向く。

 集会の詳細や参加申し込みについては全国集会の公式サイトまで。

当研交流会IN木更津


 みづき会=千葉県木更津市。1991年設立。知的障害者の入所施設「上総喜望の郷」、同じく「上総ゆうゆうの郷」、身体障害者の入所施設「上総あいらいの郷」のほか、相談支援事業所を運営している。職員は220人。

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