関わり合いが元気の源 「国際盲ろう日」記念イベント
2026年08月06日 福祉新聞編集部
昨年の国連総会でヘレン・ケラー(1880~1968)が生まれた6月27日を「国際盲ろうの日」と制定されたことを記念するイベント(社会福祉法人全国盲ろう者協会、桜雲会などの共催)が7月25日、ハイブリッド形式で開催され、120人以上が参加した。
ヘレンは幼い時に病気で視力と聴力を失ったが、家庭教師、アン・サリバンの指導で言葉を覚え、大学卒業後、世界各地を回って障害者らに勇気と希望を与えた。日本にも3度来ている。
第1部のシンポジウムには2人の盲ろう者が登壇。ヘレンの生家を訪ねたという福島智東京大先端科学技術研究センター特任教授(63)は「私は18歳で盲ろうになったが、ヘレンは1歳7カ月で盲ろうになった。ほとんどゼロの状態から言葉を覚えたヘレンは普通の感覚を超えた大変な努力家」と評した。
自身の母親が考案した指点字(盲ろう者の指を点字タイプライターのキーに見立ててたたいて伝える)のエピソードも語り、「元気でいられるのは他の人と関わり合うことが一番。盲ろう者のコミュニケーションの特性は同じ時、同じ場にいる人とだけ話せること。それは人と人のコミュニケーションの原点だ」と話した。
森敦史筑波技術大障害者高等教育研究支援センター研究員(34)は生まれつきの盲ろうで、3歳の時から難聴幼児通園施設に通った。言葉は手話で教えてもらってから実際にそれを触る、経験するという方法で覚えた。例えば、海に行って海水や砂浜を触り、それらをまとめて海とイメージしている。「経験と結び付けることを重視して教えてくれた。今後の盲ろう児の教育に貢献したい」と話した。また「インターネットで情報を入手できるなどICT(情報通信技術)の普及で日本語技術が大きく伸びた」と述べた。
第2部では盲ろう者とのコミュニケーション体験と交流が行われた。指点字を体験した女性は「自分に自信がないとたたく力が弱くなると言われた」などと助言を受けた。
情報をどう届けるか
厚生労働省の2024年度調査では盲ろう者は全国に推計9313人いる。福島特任教授は「身体障害者手帳に二つの障害名を記載するメリットがないため記載していない人などもおり、実際には盲ろう者は2万人程度いるのではないか」と推察する。「盲ろう者や家族にどう情報を伝えるかが大きな課題。個人情報保護などへの対応も必要だが、行政と当事者団体が協力しながら個別訪問をして、困っていることはないか調べることが有効な方法だ」と述べた。

