障害者家族の不安に寄り添う 大分県社会福祉事業団の「親なきあと相談室」設置から9年

2026年0724 福祉新聞編集部
相談員の後藤主幹(左)と稲積翔平さん

 「自分が亡くなった後、この子を誰が支えてくれるのか」。障害のある人の家族が抱える切実な不安に寄り添う「親なきあと相談室」を社会福祉法人大分県社会福祉事業団(銅城義則理事長)が県内に6カ所設置している。

 日本財団が昨年10月に行った調査では、親亡きあとに不安を感じている家族は86%に上る一方、特に何も準備をしていない家族が43%いた。久保田明義事業団常務理事は「家族は漠然とした不安に駆り立てられ、どこに相談していいか分からないでいる」と話す。

 事業団が相談室を開設したのは2017年1月。運営する6カ所の障害者相談支援事業所が窓口となり、養成研修を受けた相談員が家族の不安や悩みを受け止め、困り事を整理し、希望に応じて司法書士や社会保険労務士などにつないでいる。相談は無料で、匿名でも受け付けている。

 これまでに受けた相談は300件以上。内容は「住まい」「支える人」「財産管理」だけではなく、漠然とした気持ちの表出や、生活、健康、金銭面など多岐にわたり、それらが絡み合っている。

研修受講者を募集

 高齢化が進む中、親亡きあとは全国的な課題であり、事業団は各地に相談できる環境とネットワークをつくろうと相談員の養成研修にも力を入れている。家族の不安を受け止める姿勢から相続、税金、後見などの専門家につなぐ視点が学べる。受講は無料。8月26、27日に都内で開かれるほか、11月以降に関西、沖縄、中国地区でも行われる。詳細は事業団ウェブサイトに掲載されている。

 相談した家族からは「誰にも話せず追い詰められていた。話せる場があって安心した」といった感想が寄せられている。後藤寛子主幹は「今困っていないのに相談していいのかと思われることもあるが、不安を話すだけでいいと伝えたい」と呼び掛ける。今後に向けて矢野和彦事業推進コーディネーターは「親亡きあとはネガティブな言葉ではなく、これからの人生を考えるきっかけとして受け止められる社会をつくっていきたい」と話している。

親なきあと相談員養成研修開催のお知らせ – 社会福祉法人大分県社会福祉事業団

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