地方創生を再起動 石破首相「活力取り戻す」(臨時国会)
2024年12月07日 福祉新聞編集部第216臨時国会が11月28日、召集された。石破茂首相は29日の所信表明演説で三つの重要政策課題を掲げ、その一つを「日本全体の活力を取り戻す」とした。具体的には(1)地方創生の再起動(2)賃上げと投資がけん引する成長型経済への移行(3)全世代型社会保障の構築――を挙げた。
地方創生については、交付金を当初予算ベースで倍増すると表明。社会保障については、子育て支援の推進と現役世代の負担軽減を重視するとしたものの、具体策は言及しなかった。防災庁については、2026年度中の設置に向けて準備を進めるとした。
臨時国会の会期は21日まで。11月22日に閣議決定した総合経済対策の裏付けとなる今年度補正予算の成立を目指す。
介護、障害福祉に一時金5・4万円
補正予算案は11月29日に閣議決定した。一般会計は13兆9433億円。そのうち厚生労働省は8454億円で、医療、介護、障害福祉分野の賃上げや医師偏在是正に1892億円を計上した。
介護、障害福祉については、常勤職員1人当たり5万4000円の一時金を支給できる予算を計上した。現行の処遇改善加算を取得し、職場環境改善計画を都道府県に提出することがこの補助金の支給条件だ。
訪問介護については経験の浅いヘルパーにベテランが同行する際の経費や経営改善に充てる経費を計上した。
介護、障害福祉いずれもテクノロジーの導入や経営規模の拡大などにより効率化を図る方針で、関連経費223億円を計上。また、能登半島地震の復興支援や福祉施設の耐震化には497億円を盛り込んだ。
保育士の処遇を改善
こども家庭庁は4335億円を計上し、その約半分を保育分野に充てる。保育士の給与を23年度比で月額約3万8000円アップできる予算として1150億円を盛り込んだ。人事院勧告に準拠し、基本分単価を10・7%引き上げる。
民間が運営する保育所や認定こども園などの整備費(新設、改修、耐震化)には829億円を計上した。過去5年の補正予算の約2倍に当たる大幅増だ。
社会的養護施設や障害児施設の措置費についても、人事院勧告に準拠して人件費を上げる。社会的養護に84億円、障害児施設に5億9000万円を計上した。例年よりも上げ幅が大きい。
障害児が通う児童発達支援センターや放課後等デイサービスなどの職員についても、一時金5万4000円を支払える予算として84億円を盛り込んだ。算定要件は介護、障害福祉と同様だ。