職員の性犯罪歴を確認 こども性暴力防止法が成立

2024年0629 福祉新聞編集部

こどもに接する職場で働く人の性犯罪歴を確認し「日本版DBS」を創設する、こども性暴力防止法が6月19日、参議院本会議において全会一致で可決、成立した。児童養護施設や保育所などを運営する事業者に対し、職員の前科を確認することを義務付ける。今後こども家庭庁はガイドラインを整備した上で、2026年度にも開始する見通しだ。

具体的な確認手順は、まず事業者が同庁に申請。同時に働く人自身も戸籍情報などの書類を提出するなど本人が関与する仕組みとする。その後、同庁が法務大臣に照会をかける。性犯罪歴がなければ、そのまま「確認書」を事業者に交付する。

性犯罪歴があった場合、同庁は事業者よりも先に働く人へ通知する。内定を辞退すれば確認書は不交付となる。2週間以内に訂正しなければ、犯歴ありの確認書が事業者に届く。

事業者には一定期間経過後に情報を消去する義務を課すなど、適正な管理を求める。情報漏えいがあった場合などには罰則もある。

対象は児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、障害児入所施設、保育所、学校など、監督や認可など行政による関与が大きい事業者。一方、自立援助ホームや放課後児童クラブ、認可外保育施設、学習塾などは任意とし、認定を受ければ対外的にアピールすることができる。

性犯罪の範囲は、強制わいせつなどの刑法犯や、痴漢などの条例違反が対象。裁判所で有罪判決を受けた前科のみとし、不起訴なら対象外とする。

照会期間は、拘禁刑は刑を終えてから20年。執行猶予や罰金刑は10年としている。

犯罪歴の照会は、現職も対象とする。性犯罪歴があると、こどもに接触しない業務に配置転換しなければならない。

また、同法は性犯罪歴が無くても、こどもなどから訴えがあり、性加害のおそれがある場合でも、配置転換などの措置を講じなければならないとした。

こうした点の詳細も含め、同庁は今後ガイドラインを作成する予定だ。