「支援金制度」創設 子育て支援法改正案成立 少子化対策の強化目指す

2024年0617 福祉新聞編集部

少子化対策の強化を目指す子ども・子育て支援法等改正案が5日、参議院本会議で自民、公明両党などの賛成により可決、成立した。大幅な児童手当の拡充など子育て家庭への支援を強化する一方、財源として新たに公的医療保険に上乗せして徴収する「支援金制度」をつくる。立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主、れいわ新選組などは反対した。

改正案は、政府が2023年12月に策定した「こども未来戦略」に明記された施策の実現を目指すもの。具体的には、今年10月から児童手当の所得制限を撤廃し、対象を従来の中学生から高校生年代まで拡大。また、11月から第3子以降は月3万円に増額する。

さらに、25年度から親が就労要件を満たさなくても保育所に預けられる「こども誰でも通園制度」を創設し、従来の保育政策を大転換する。妊娠期の負担軽減に向け、給付と相談をセットにした総合的な支援も実施。両親が14日以上育児休業を取得するなどの条件を満たせば、最長28日間は実質的な手取り収入が減らないよう育児休業給付を拡充する。

こうした少子化対策の強化に向けた予算として、政府は年3兆6000億円が必要だと見込む。この財源の内訳は、既存予算の活用で1兆5000億円、歳出改革で1兆1000億円、新たな支援金制度で1兆円とした。

支援金制度は26年度から段階的に開始。26年度は6000億円、27年度は8000億を徴収する。その間は特例公債を発行して対応する。

28年度の支援金の負担について政府は、大企業で働く人などが加入する健康保険組合は月500円、中小企業で働く人などが加入する協会けんぽで450円、公務員などが加入する共済組合で600円を見込む。同額を事業主も負担する。

また、政府は医療や介護分野の歳出改革を行うとともに、賃上げによって社会保険の負担を抑えることで、支援金の創設に伴う実質的な負担はないと説明している。