共同親権、違憲でない 参院で小泉法務大臣

2024年0504 福祉新聞編集部

離婚後の父母による共同親権を導入する民法改正案が4月19日、参議院本会議で審議入りした。離婚する父母の意に反した共同親権は憲法24条に違反するとの見方に対し、小泉龍司法務大臣は「現行民法で、夫婦の合意がなくても裁判上の離婚や親権者の指定が認められている。これを踏まえれば憲法24条に違反しない」と述べた。

憲法24条が婚姻について「両性の合意のみに基づいて成立する」と定めた点に着目して質問した石川大我氏(立憲民主党)に答弁した。離婚後の共同親権と憲法24条の関係をめぐる政府見解が初めて明らかになった。

民法改正案は、離婚後の親権について父母の協議で共同か単独か決めるとし、合意できない場合は家裁が「子の利益」の観点で決めるというもの。

共同なら虐待防げるか

改正後は、父母が合意しない「非合意型共同親権」があり得るという意味だ。「非合意型」が必要な例として法務省は「同居親とこどもの関係が良好でない、あるいは同居親のこどもの養育に不安がある場合」を挙げている。

同居親がこどもを虐待する場合、もう一方の親も親権を持てばこどもの被害を軽減できるという見方だ。

しかし、小泉大臣は共同親権の導入が、同居親による虐待の防止につながった例が諸外国にあるかという点については「承知していない」と答弁した。

子育て支援策に影響

「非合意型」が必要とされる積極的な理由が不明瞭なだけでなく、共同親権となった場合の子育て支援策がどうなるかも不透明だ。

同日の本会議では、児童扶養手当や奨学金といった親の資力を要件とした各省庁の支援策が28件あることが参院調査室の調べで判明。その中には、親権を持つ父母双方の収入を合算して支給対象を判断するものもある。

生活実態としてはひとり親家庭で別居親から養育費が支払われない一方、親権者である父母の収入の「合算」によって支援策の対象外となる例が生じる可能性がある。

改正法案がこうした支援策に及ぼす影響を明示すべきだとする仁比聡平氏(共産)に対し、小泉法務大臣は「第一次的にはそれぞれの法令を所管する省庁で検討されるべき事柄だ」と答弁した。