軽費ホームの運営費増 全国的な広がりに期待〈茨城県〉
2025年09月03日 福祉新聞編集部
茨城県は2025年度に県内45カ所の軽費老人ホーム(ケアハウス)の運営費単価(サービス提供基本額)を増額した。運営費は04年度に国庫補助から一般財源化され、各自治体が判断して決めるようになったが、約20年間、多くの自治体で単価額は据え置かれており、物価高や賃金引き上げの中、施設運営は逼迫している状況にある。
全国軽費老人ホーム協議会理事長で、北茨城市で「ケアハウスマイホーム五浦」を運営する荒川透社会福祉法人あかね会理事長は「単価が増額されたのは全国でもまだ少ない」と話し、増額の流れが全国的に広がることを期待している。
運営費単価は国の基準を基に各自治体が定めている。定員と地域区分で額が決まる。
定員40人のマイホーム五浦の場合、24年度までの運営費単価は7万6600円。「約20年間で約1000円しか増えなかった」(荒川理事長)と言う。その約20年の間に食材料費などが高騰しても生活費(施設が利用者から徴収する)は据え置き、法人の持ち出しで対応してきた。当然運営は厳しくなり、24年度は約600万円の赤字に陥った。
年600万円の増収
こうした状況に法人はかねて県に対し、運営費単価の増額を訴えてきた。そこに厚生労働、総務省が自治体に増額を促す通知を出したことが増額実現の追い風になった。
25年度からマイホーム五浦の運営費単価は8万7100円(1万500円増)となり、荒川理事長は「年約600万円の増収が見込める」と安堵する。
県によると、25年度の運営費単価増額に係る費用は1億6000万円。前年度に比べて十数%上がり、これだけの増加幅は初めてに等しいという。費用は25年度補正予算で組み込む。担当者は運営費単価増額について「国の通知、全国的な単価引き上げへの問題提起、県内軽費老人ホームの財政状況を総合的に判断し、適正な額になるようにした」と説明している。