都内特養、早期に入所しやすく 退所者の増加が要因(高齢協調査)

2025年0220 福祉新聞編集部

東京都社会福祉協議会の高齢者福祉施設協議会が1月31日に公表した「2024年度特別養護老人ホーム入所待機者調査」によると、回答した特養の定員総数2万8898人に対し、1年間の退所者は8357人。退所率は29%で、例年の約25%より増え、以前より入所しやすくなっている。宮澤良浩高齢協制度検討委員長は「入所できない特養から、早期に入所可能な特養に変化している」としている。

また、自治体が待機者名簿を送ってくる頻度は「1カ月」が43%で前年度の37%より増える一方、「半年、1年」は17%で前年度の24%より減った。名簿がより短期間で送られて来るようになったことで、入所手続きが早期にできるようになった。さらに、入所案内を断られる理由は「ほかの施設に入所した」との回答が多くなったことも、早期に入所できるようになったと考えられる要因だ。

一方、入所申込者に「医療ニーズの高い人が増加している」との回答は86%で、入所に至らない理由では「医療依存度が高いため」が92%を占めた。生活施設である特養では対応が難しく、医療依存度の高い人は名簿に残り続けている可能性もあり、宮澤委員長は「受け入れが難しい人には入所できる施設を案内するなどの配慮が必要。そうしないと正確な待機者数が把握できない」と指摘している。

経営面をみると、平均稼働率は93・3%で前年度から1・3ポイント改善したが、一般的な収支分岐点(95%)を下回り、厳しい経営状況が続いている。

調査は24年7月に行い、会員の特養323施設が回答した(回収率62%)。