措置費支弁施設の支出管理
2025年02月06日 福祉新聞編集部![](https://fukushishimbun.com/wp-content/uploads/2025/01/bfa6b82ecac5cc7e45da9cb3466ec7d0.jpg)
措置費の支出に関する基本的な考え方
1967年4月14日に出された「児童福祉施設における措置費の経理について」において、児童福祉施設がその支弁を受けた措置費の各費目の使途、すなわち支出対象経費の内容は、その支弁を受けた措置費の各費目、すなわち事務費収入及び事業費収入の支出は、定められた使途以外の経費に充てることは原則としてできないこととされ、収支差額が発生する余地はなかった。措置費の支弁は単年度運営で施設整備費、借入金償還及び支払利息の財源は想定されていなかった。
複数年度での財務運営の必要性、施設整備費、借入金償還及び支払利息のための財源の必要性及び法人運営財源の必要性が認められ、措置費の弾力運用が認められることになった。
社会福祉施設における運営費の運用及び指導
社会福祉法人の自主的・自律的な経営を推進する観点から、措置費の一層の弾力運用を図ることとし「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」が通知として出され、措置費支出の弾力的運用が認められ、現在に至っている。この弾力運用は無条件に認められるものではなく、適正な法人運営、施設運営などの要件を満たすことを前提に認められる。次に弾力運用の主な内容について紹介する。
運営費支出対象経費
人件費については、給与、賃金等施設運営における職員の処遇に必要な一切の経費に支出されるもの、管理費については、物件費、旅費等施設の運営に必要な経費に支出されるもの、事業費については、入所者の処遇に必要な一切の経費に支出されるものであるが、各区分にかかわらず、当該施設における人件費、管理費または事業費に充てることができる、とされた。すなわち、措置費収入の人件費、事務費及び事業費といった積算内訳にかかわらず、人件費、事務費及び事業費といった支出に充てることが認められている。
複数年度での財務運営施設整備費等財源
措置費収入を単年度で使い切らず複数年度において運営することについては、積立金及び繰越金として次のように認められている。
(1)積立金
措置費を以下の積立金に積み立て、次年度以降の当該施設の経費に充てることができる、とされた。①人件費積立金(人件費の類に属する経費に係る積立金)②施設整備等積立金(建物、設備及び機械器具等備品の整備・修繕、環境の改善等に要する費用及び増改築に伴う土地取得に要する費用に係る積立金)
(2)繰越金及び繰入金
当該年度の運営費(措置費)収入の30%以下を限度として繰越金の保有が認められ、当該施設の赤字の補填に充当する以外に、法人運営の観点から次の繰入金支出が認められている。①法人本部の運営に要する経費②同一法人が運営する社会福祉法第2条に定める第1種社会福祉事業及び第2種社会福祉事業の運営に要する経費③同一法人が運営する公益事業の運営に要する経費
(3)法人内貸し付け
法人運営の観点では、さらに、当該年度内に限ってではあるが、当該法人の経営上やむを得ない場合に、措置費の同一法人内における各サービス区分、各拠点区分及び各事業区分への資金の貸し付けも可能とされている。
施設整備借入金償還財源
施設整備借入金の償還財源としては、措置費収入のうち民間施設給与等改善費として加算された額に相当する額を限度としてではあるが、借入金の償還金及びその利息に充当することができる、とされる。
措置施設の施設整備補助制度
社会福祉施設の整備に当たっては、国及び地方公共団体の補助金と2005年度から「地域介護・福祉空間整備等交付金」及び「次世代育成支援対策施設整備費交付金」による助成制度が創設された。児童養護施設、保護施設といった措置費支弁施設の施設整備に当たっては、国が整備費の2分の1を補助し、都道府県(指定都市・中核市を含む)は、整備費の4分の1を補助し、社会福祉法人の施設整備の負担は4分の1とされる。社会福祉法人の施設整備の負担4分の1の財源としては、施設整備時には施設整備積立金、償還時には民間施設給与等改善費加算額がそれぞれ対応可能な財源となる。