与党税制改正大綱を決定 年収の壁は123万円に

2024年1228 福祉新聞編集部
赤羽一嘉公明党税調会長(左)と宮沢会長=自民党ウェブサイトより

自民・公明両党は12月20日、2025年度税制改正大綱を決定した。国民民主党が求めていた、いわゆる「年収103万円の壁」については123万円に引き上げることを盛り込んだ。

所得税には、収入から一定額を差し引いて税負担を軽減する「控除」が設けられている。所得税の基礎控除額が48万円で、給与所得控除が55万円。合計の103万円を超えると所得税が掛かることから「働き控え」につながっていると指摘されている。

また、扶養するこどもがアルバイトなどで年収103万円を超えると、扶養控除がなくなるため、親の税負担が増えることになる。

これに対し、国民民主党は1995年からの最低賃金の上昇率を根拠に、103万円の壁を178万円に引き上げるよう要望。自民・公明両党は昨年10月の衆院選で過半数を割り込んでいたことから、どう対応するかが注目されていた。

同日決定した大綱は、所得税について基礎控除と給与所得控除をそれぞれ10万円ずつ引き上げる方針が示された。国民民主の求める178万円までは及ばなかったものの「引き続き真摯しんしに協議を行う」と明記した。

また、19~22歳のこどもを扶養する親の税負担を軽くする「特定扶養控除」も拡充。こどもの年収要件について、現行の103万円から150万円に引き上げる。150万円を超えると控除額を段階的に減らす仕組みを新たに導入する。

自民党の宮沢洋一税調会長は103万円の壁見直しに伴う減収は6000億~7000億円程度になるとの見通しを示し「国民民主とは最終的な合意に至らなかったが、予算成立までしっかり対応する」と話した。