カスハラテーマに講義 職員守る組織づくりを(損保ジャパン)
2024年12月03日 福祉新聞編集部損害保険ジャパンが主催する2024年度ふくしの保険セミナーが11月12日、都内で開かれた。社会福祉法人を対象に毎年開催しているもので、カスタマーハラスメントがテーマの講義などがあった。
厚生労働省によると、介護老人福祉施設の職員が利用者から身体的暴力を受けた割合は90%に上るなど、他分野に比べても高いのが現状だ。一方、22年度から事業主にはハラスメント防止の取り組みが義務化されている。
特別養護老人ホームなどへのコンサルティングを行うSOMPOリスクマネジメントの泉泰子氏はセミナーで「利用者や家族からのハラスメントは職員個人の問題ではなく、法人の問題として捉えることが重要だ」と強調。施設のトップが全職員に対し、ハラスメント対策が重要課題であると発信し、文書でも明確化することを求めた。
具体的に、夜勤中に利用者から暴行を受けた職員をそのまま勤務させた結果、次の日辞職したケースなどを紹介。危険な場合はすぐに逃げ出すことや、個人的な問題として片付けないよう訴えた。
ただ、加害者が認知症などの場合は、法的な責任を問うことができない。そのため泉氏は、組織的な対応として相談窓口の設置や、ヒヤリハット報告への記載などを求めた。また、施設対応の限界を定める基準を作成し、入所の契約時に提示することも提案している。
その上で、「時代はあらゆるハラスメントから職員を守る組織づくりを要求している。ストレスの受け皿になるボランティアになってはいけない」と述べ、人材不足も顕著な中で福祉職の意識改革を行うべき時期にきていると語った。