介護の倒産、過去最多145件 訪問介護が半数占める(東商リサーチ)
2024年11月19日 福祉新聞編集部東京商工リサーチは7日、2024年1~10月の介護事業者の倒産が145件だったと発表した。これまで最多だった22年の143件を上回り、2カ月残して過去最多を更新する事態となっている。
業種別では、訪問介護72件▽通所・短期入所48件▽有料老人ホーム11件▽その他14件――だった。原因は売り上げ不振が7割を占めた。事業規模は従業員10人未満が121件と小規模事業者が多かった。
訪問介護が多いのは、人材不足や物価高騰などの要因のほか、24年度介護報酬がマイナス改定だった影響もあるとみられる。
同社は「介護報酬は公定価格のため価格転嫁は難しい。処遇改善の加算で介護職員の賃上げは徐々に進むが、賃上げピッチが他業界に追い付かず、厳しい状況が続いている」と指摘。今後、国や自治体の本格的な支援がなければ、零細事業者の淘汰とうたが加速する可能性が高い」と分析。
その上で「協働化や再編など経営基盤の強化が急務で、このままでは倒産に歯止めが掛からず、全国で『介護難民』の発生が現実味を帯びる」と警鐘を鳴らしている。