多世代交流拠点を開所 地域食堂、学習支援など(こうほうえん、鳥取)

2024年1023 福祉新聞編集部
こどもたちに人気の駄菓子店=こうほうえん提供

鳥取県や東京都で介護、保育、障害者支援などを展開する社会福祉法人こうほうえん(鳥取県米子市、廣江晃理事長)は今秋、米子市内で高齢化が深刻な永江地区に地域活性化を目指す多世代交流拠点「みんなの居場所あいRIN」を開所させた。2階建ての空き家を活用し、地域食堂や学習支援、こどもの居場所などを提供。来月以降には放課後児童クラブ(学童保育)の実施も予定している。

米子の中心市街地から車で15分ほどに位置し、高度経済成長期の終盤に開発された団地がある永江地区では人口減少と高齢化が進む。同法人によると、自治会の存続が難しくなる団地もあるなど、住民の力だけで地域を支える活動を継続していくことが限界を迎えつつあり、特にこどもや子育て世帯を支える仕組みやインフラが不足している。

こうした状況を踏まえ、住民の日ごろの居場所となる多世代交流の場を設けることが必要だと判断し、5日に同拠点をオープンさせた。介護現場の経験があり、保育士資格も持つ法人職員1人が常駐。事業運営には地域のボランティアおよそ20人が参加する。

年齢を問わず誰でも利用できる「地域食堂」は毎日開き、安価で食事を提供する。土日には教員OBによる小中学生向け学習支援を無料で実施。幼児から小学生が遊ぶことができる居場所や、駄菓子店も備える。課題を抱えるこどもの早期発見、見守りや、保護者からの相談対応にもつなげていきたい考えだ。

また、地域の高齢者らが集い、おしゃべりやボランティア活動を楽しんでもらうなど、高齢者の孤独解消や健康づくりにもつなげる。同法人の担当者は「将来的には障害者やシングルマザーへの就労支援なども実施し、誰もが安心して暮らせる地域づくりを目指したい」としている。