足並みそろえて倹約作戦 外国人採用から介護用品まで(香川)

2024年0627 福祉新聞編集部
鎌倉理事長(右)と長男の契嗣施設長(建物は紅山荘)

足並みをそろえて〝倹約作戦〟――。香川県内の社会福祉法人や医療法人など14団体は協同組合をつくり、外国人材の採用や介護用品などの購入を展開している。「メリットは安定だが、肝心なのは法人間のネットワーク」と、丸亀市の社会福祉法人祷友会の鎌倉克英理事長(72)=元日本社会福祉士会長=は言う。

東西に長い同県のホームページによると、登録済みの県内の社会福祉法人は194ある。このうち、西に位置する祷友会や坂出市の松寿会(松浦裕子理事長)、仲多度郡まんのう町の正友会(長谷川智一理事長)、そして県東端で徳島県に接する東かがわ市の三本松福祉会(太田卓理事長)の4法人で2016年、協同組合クローバー(事務局・松寿会)を立ち上げた。

一番の目的は外国人スタッフの共同採用だ。人口減に悩む同県では介護人材の確保は容易ではない。このため組合はインドネシアの送り出し機関と調整のうえ人選し、岡山県にある研修所などで再研修の後、希望の法人へ配属。その後も松寿会の施設に集まって日本語の学習を重ねてきた(コロナ禍以降はオンライン研修も)。組合方式だと過重な負担は避けられ、これまでベトナムを含め80人ほどを採用してきたという。

もっと目に見える活動がオムツ、パットなど介護用品やリネン(レンタル)の共同による大量購入・発注。「年間約3500万円」(クローバー)に上る。カラーコピー機も一斉購入(7台)。「メーカー本社と交渉し、意外なほど安価だった」(鎌倉理事長)。

法人全体で15人のインドネシア人スタッフを受け入れている祷友会の特別養護老人ホーム「紅山荘」(110床・1972年建築)の鎌倉契嗣施設長(38)は「ケアや言葉の掛け方が優しく、入所者からの評判は上々です。日本人スタッフに負けていません」と喜ぶ。その一方、「収支バランスは厳しい。たんの吸引や胃ろうなど医療的ケアの必要な高齢者が増えているのに、必要な看護師がなかなか見つからず、空きベッドができ、赤字につながっていくためです。物価高騰の中、改築して27年たつホームの修繕費用や備品交換代の捻出など課題は山積ですが、なんとかクリアしたい」と数字とにらめっこだという。


協同組合クローバー 外国人技能実習生や特定技能外国人の受け入れ、共同購買事業を目的に設立。代表は松寿会の松浦理事長。設立時の4法人のほか、永世会(坂出市、上里好子理事長)▽徳樹会(観音寺市、橋本康子理事長)▽共済会(綾歌郡綾川町、田中智理事長)の計7社会福祉法人と医療法人、介護などに関わる民間会社で構成している。