生活福祉資金コロナ特例貸付で支援事例集 全国25事例まとめる(全社協)

2024年0523 福祉新聞編集部
特例貸付事例集

全国社会福祉協議会は新型コロナウイルス感染症に伴う生活福祉資金の特例貸付に関する支援事例集をまとめた。社協が貸付金の返済だけを求めるのではなく、借受人が抱える生活課題の解決を目指し寄り添っているのが特徴で、全国の25事例を取り上げている。

新型コロナにより収入減に陥った世帯への支援策として、政府は2020年3月から22年9月まで生活福祉資金に特例を設けて対応した。貸し付けは382万件・1兆4400億円に上り、23年1月から償還も始まっている。

4万7000件の債権を抱える川崎市社協は23年4月、新たに生活再建支援室を立ち上げ、13人の生活再建支援員を配置。借受人にプッシュ型で支援しているのが特徴だ。

病気療養などを理由に償還猶予となった約500人を対象にアンケートを郵送。「1人で悩まず相談を」というメッセージを前面に出したところ、7割から返事があった。「ほかにも多額の債務がある」「病気で働けない」などの悩みが寄せられ、それぞれ支援機関につないだという。

今年2月からは返答がない人の家への訪問も開始した。地域住民に生活課題を共有するための漫画冊子も作成するなど地域づくりにも取り組んでいる。

このほか、福岡県の福智町社協では、同様にアンケートをした上で、食料品の配布会を複数回実施。公式LINEや専用メールも開設するなど相談窓口を増やしている。

兵庫県社協は、借受人の孤立を防ぐため、県内の全41社協と協力。社会福祉法人のネットワークを活用した生活課題への対応や就労支援などを行っているという。

全社協は「ただ償還の手続きを行うだけでなく、生活再建に向け寄り添いながら支援するのが社協の支援の特徴だ。特例貸付をきっかけとした住民を巻き込む地域づくりは横展開を期待したい」などと話している。