特養の7割が介護職不足 他産業の賃上げ影響(福祉医療機構調査)

2024年0305 福祉新聞編集部

福祉医療機構(WAM)が行った「2023年度特別養護老人ホーム人材確保調査」によると、特養の7割が利用者を直接ケアする職員(介護職員など)が不足していると答えた。21年度調査から悪化傾向にあり、職員確保が難しい原因は「他産業より低い賃金」「近隣施設との競合」が多かった。

 

2月21日に調査結果を発表したWAMは「23年春闘の賃上げが高水準となるなど他産業の動向が影響した」と分析。今後について「24年度介護報酬改定で処遇改善が図られるが、24年春闘も高水準の賃上げが予想されるため、その影響が懸念される」としている。

 

職員不足の対応として推進されている「介護助手」を雇用しているのは6割で、雇用人数は平均4・8人だった。また、外国人を雇用している施設は5割強。年々増加しているが、都市と地方で地域差がみられる。受け入れ形態は「特定技能」が44%を占め、「技能実習」を抜いて初めて最多となった。

 

22年度に新卒を募集して実際に採用できたのは4割に満たず、中途は8割以上で採用できた。ただ新卒、中途とも21年度より採用できた割合は悪化した。

 

中途採用をする際に最も効果のある経路は人材紹介会社だが、1年間の手数料(正職員を採用できた場合)は平均290万円で、ほぼすべての特養が「手数料が高い」と答えた。

 

調査は23年10~11月に3284の社会福祉法人を対象に行い、回答率は23%だった。