介護報酬増額勝ち取る 全国老人福祉施設協議会が大会で団結

2023年1214 福祉新聞編集部
大山会長

約1万1000の会員が所属する全国老人福祉施設協議会(大山知子会長)は11月29、30日、「全国老人福祉施設大会・研究会議」を岐阜市で開いた。特別養護老人ホームの6割が赤字の中、2024年度介護報酬改定の議論が大詰めを迎えており、大山会長は「自助努力だけでは手に負えない厳しい経営状況にあり、このままでは介護崩壊につながる。介護現場の声を国政に届け、必ずやプラス改定を勝ち取りたい」と力を込めた。

 

コロナや物価高などにより経営状況は悪化している。全国老施協の22年度調査では特養の収支差率は初めてマイナス(2・8%)となり、赤字割合は62%に上った。経営改善するには国が定める介護報酬の引き上げが不可欠で、全国老施協は関係省庁などに要望活動を行い、都道府県・市老施協でも地元の国会議員に陳情活動を展開している。

 

また、春闘の賃上げ率3・58%により一般企業で賃上げが進んでおり、介護人材が他産業に流出するのを防ぐため、全国老施協は、介護も一般企業と同程度以上に賃上げができるよう、介護報酬の引き上げが必要だと訴えている。

 

さらに大山会長は「魅力ある施設となり、ここで働きたいと思う若者を増やさないといけない。しっかりとしたケアを提供し、それを見える化し、国民から信頼される社会福祉法人でなければ継続していくことは難しい」と述べた。

 

会場には約1500人が集まり、代表して登壇した特別養護老人ホーム青葉台さくら苑(東京都)の片桐恵子さんが「介護現場で働き続けるのに必要なのは安心。そのために待遇改善が不可欠」と話すと、会場から拍手が湧いた。