福祉法人が運営の介護福祉士養成校 強み生かし軌道に(愛知)

2023年1025 福祉新聞編集部
田原福祉グローバル専門学校で学ぶ外国人留学生

介護福祉士養成施設の運営が厳しさを増している。「介護離れ」により入学者が年々減少し、学校は定員割れや廃止が相次いでいる。そんな中、愛知県田原市に社会福祉法人福寿園(古田周作理事長)の田原福祉グローバル専門学校(介護福祉学科・定員40人、日本語学科・定員80人)が2021年4月、リニューアルオープンした。福祉の強みを生かし、学校運営を軌道に乗せる。

 

同校は市が25年間運営してきたが、学生が集まらず年8000万円の赤字が続く中、福寿園に移管した。

 

福寿園は1980年創立で高校を含めて地域とつながりがあり、外国人材の受け入れもEPA(経済連携協定)1期生から行い、独自にフィリピンの大学、ベトナム、インドネシアの日本語学校と提携し、日本語や介護を教えている。古田理事長は「難しい学校運営になるが、これまで培ったノウハウやルートを生かし、今後の人材確保も見据え継ぐことにした」と言う。

 

学生を集めるため、市の負担で老朽化した校舎の内外装をきれいに塗り替え、新たに開放感のあるおしゃれな学食カフェやダンスホールを造った。女子寮や法人で買い上げたアパートを学生に安く賃貸している。

 

現在は計101人の学生がおり、うち外国人留学生は66人。出身国はインドネシア、ベトナム、フィリピンが多い。学生は田原市の入学・就職奨学金、施設に数年勤務すると返還を免除される修学金などにより、ほぼ学費を負担せず学べる。

 

一方、学食カフェの2階では障害児向けの放課後等デイサービス(定員10人)を提供している。学童保育も行い、近隣の小学校などから毎日約60人が集まる。プログラミングやダンスなどを学べるほか、専門学校の外国人留学生が英語を教えるなど、さまざまな交流が生まれている。

 

こうした福祉サービスの展開や地域交流は、学校法人ではなかなかできない社会福祉法人ならではの取り組みだ。学校運営のノウハウも少しずつ分かってきて、当初より赤字額は減り、来年度は外国人留学生が増える見込みだという。古田理事長は「介護福祉士養成施設が先細りにならないよう苦しい中でも続けていく」と力を込める。

 


 

日本介護福祉士養成施設協会によると、今年4月時点の入学者数は前年度比605人減の6197人(うち外国人留学生1802人)、介護福祉士養成施設数は前年度比17校減の293校で、いずれも過去10年間で最少だった。入学定員数1万2089人に対し、定員充足率は51・3%で前年度より3・3ポイント下がった。