高齢者施設にスマートスピーカー ICTで業務負担軽減(徳島市)
2023年10月05日 福祉新聞編集部「オッケーグーグル。アリス、カーテン開けて」。職員が入所者の居室の壁に設置されたグーグルスピーカーに話し掛けるとカーテンが自動で開閉する。照明の消灯なども音声でできる。
ここは徳島市にある地域密着型特別養護老人ホーム「KAGOYA LIFE」(社会福祉法人あさがお福祉会)。ICT(情報通信技術)を積極的に取り入れ、業務の負担軽減と効率化を図っている。ポイントは「使い勝手の良さ」だ。
朝、職員が居室のカーテンを開け、照明を消し、起床を促すのにかかる時間は1居室1分程度にすぎないが、全29室を回ると30分近くかかり、朝夕で約1時間にもなる。それが毎日のことだと考えれば、一定の所要時間を軽減できる。カーテンが自動で開閉する間は入所者の様子を観察し、顔を見て会話できるメリットもある。
また、音声で居室の窓の開閉ができるほか、入所者が好きな音楽やラジオを流すこともできるので、入所者がCDなどを持ち込んだり、職員が操作したりすることが不要になった。入所者の孫が来た際にこどもの好きな音楽を流すこともできる。
さらに今日の天気や昔の出来事を尋ねると紹介してくれるので、コミュニケーションの話題にもなる。各居室のグーグルスピーカーには「アリス」など個別名がついているので誤作動もない。
同施設は2020年4月開設。生産性の向上に向け、夜間帯に入所者のバイタルや入眠状態などを一括で確認できる見守り機器や、QRコードを読み込めば記録できる介護記録ソフト、ベッドパットが不要でリネンの使用を減らせるマットレスなども導入している。
これらの取り組みで大事なのは「職員が誰でも使えること」だと管理者の西川珠姫さんは言う。コストを掛けて導入したのに、現場で活用されないことがよくあるからだ。「ICTに苦手意識や抵抗感のある職員も扱えるようにしないといけない」と強調する。