収支差率0.9%悪化 給与費増などが影響〈介護事業経営調査〉

2023年0206 福祉新聞編集部

厚生労働省が2月1日に公表した「介護事業経営概況調査」によると、2021年度の全介護保険サービスの平均収支差率(コロナなどの補助金を含めた収入と支出の差から算出)は前年度比0・9%減の3・0%だった。サービス別にみると全23サービスの7割超に当たる17サービスで下がった。給与費は定期巡回・随時対応型訪問介護看護(78・5%)が最も高く、福祉用具貸与(38・5%)が最も低かった。

 

経営概況調査

 

収支差率が低下した要因について厚労省は「収入は増加しているが、それを上回って人件費やその他の費用などの支出が増えたことが影響している」と分析している。

 

概況調査は3年ごとの介護報酬改定の前後2年分の収支状況を調べるもの。今回は1万6830事業所を対象に、21年度改定(プラス0・7%)の影響について20年度と21年度の決算を調査した(有効回答率48%)。結果は春ごろ始まる24年度介護報酬改定に向けた議論の基礎資料となる。収支差率が相対的に高いサービスは「余裕あり」として報酬を下げられることもある。

 

今回はコロナの経営への影響も把握した。コロナの発生別(利用者、職員に陽性者、濃厚接触者などがいたか)では、13サービスで発生した事業所の方が収支差率が高かった。また、運営への影響別(サービスの一次休止、利用者減少などがあったか)にみると、9サービスで影響のあった事業所の方が収支差率が高かった。

 

いずれも高かったのは訪問入浴介護、居宅介護支援、地域密着型通所介護、地域密着型特別養護老人ホームなど8サービス。

 

コロナの影響があれば収支差率は低くなりそうだが、一部当てはまらない傾向がみられ、厚労省は「規模が大きい事業所は陽性者などの発生確率が高いことなどが影響している」と推察している。

 

なお19年度の収支差率と比べると、14サービスで21年度の方が高くなっており、経営が持ち直しているともみられる。

 

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