「安心して立ち寄って」 下北沢に若年女性の居場所〈世田谷区〉
2025年08月26日 福祉新聞編集部
世田谷区は8月1日、15~24歳の若年女性が通える居場所を区内に開設した。1人でのんびり過ごすのも、スタッフや他の利用者と雑談するのも自由。不安や人間関係の悩み、身体や性のことも相談できる。飲み物や軽食も無料で提供し、2人以上いるスタッフは全員女性だ。区は「安心して立ち寄ってほしい」と呼び掛けている。
居場所の名前は「ゆうカフェ」。下北沢駅から徒歩5分の民間貸しスペースで週2回(木、金曜日の午後1~7時)開く。利用するには身分証明を提示して登録することが必要。区外に住む人でも通うことができる。
運営を担うのは公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン。区の補助金を受けて2年間、試行的に実施する。
同団体は5年前に都内の別の区で同様の居場所を開設。そこで経験を積んできた社会福祉士の濱田真奈さんが「ゆうカフェ」の管理者だ。
「困っている人の居場所ですというメッセージは発しない」と話す濱田さん。困り事を抱えても「自分は公的な支援制度を使うに値する人間ではない」と心を閉ざす女性が多いとみるからだ。
そのため、敷居を低くして徐々に信頼関係を築くことを最も大切にする。根底にあるのは児童養護施設での勤務経験だ。
「幼少期に性的な虐待を受けるなど自分を否定された経験を持つ人は、自分が悪いと思い込み、他人を頼ろうとしない」。
施設入所に至る手前にもそうした人がたくさんいると感じた濱田さんは、「問題が大きくなる前に信頼できる人と出会えれば」と考え、この道に入った。
「ゆうカフェ」の開所日以外は、SNSを使った相談に応じたり、役所などに出向く人に同行したりする。心理士、助産師が「ゆうカフェ」で相談に応じる日も設ける。
初年度の登録者は50~100人、半年後の利用者は1日5~6人と見込む。
2024年4月に施行された「困難な問題を抱える女性支援法」を踏まえ、区は今年3月、区の施策の基本方針を策定した。若年女性については「抱える問題が非常に複合的で、従来の自治体が行う支援策にうまく適合できない性格を持つ」とし、居場所の創出を掲げていた。