大分の永寿会が独自にBCP構築 発災と同時に駆け付けるボランティア制度

2024年0712 福祉新聞編集部

大分県由布市で養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人寿永会(佐藤愼二郎理事長)は、災害時のBCP(事業継続計画)の充実に取り組んでいる。発災後すぐに施設に駆け付ける登録ボランティア制度を構築するなど、施設と地域を守るために必要な仕組みづくりを進めている。

小野精治さん(次長兼事務長)は以前勤めていた損害保険会社で、複数の被災地に出向いた経験から「国が示すBCPをなぞるだけでは十分ではない」との思いがある。

発災直後、施設は入所者の命を守りつつ事業を続けるほか、福祉避難所として法人全体で計25人の避難行動要支援者を受け入れることになっている。しかし、限られた施設職員で対応することは難しいため、ボランティアに応援に入ってもらう。地域の任意団体「防災サポート由布」に委嘱し、現在、防災士や消防団員など10人が登録している。

また、発災直後に避難行動要支援者の支援がスムーズにできるよう、事前に避難行動要支援者の情報を共有できないか市などと協議もしている。

一方、市の防災士会有志による災害バイク隊と、薬局から施設まで医薬品を代行輸送してもらう協定を結んだ。東日本大震災で自治体に医薬品は集まったが、施設や避難所に届かなかったためだ。

薬局がオンラインなどで施設に服薬指導を行った上でバイク隊が運ぶ全国初の取り組みだという。バイク隊は車が通れない道も行き来でき、例えば避難者が自宅に残してきたペットの安否確認を含めて避難者宅周辺の情報を集める役割も担う。

さらに法人では給油所と軽油、ガソリン各200リットルを優先提供してもらう協定を結び、スーパーや農家と食料や米の提供に関する協定も検討している。

小野さんは「被災施設が必要とする支援が行き届くよう取り組んでいる。モデルとして行い、全国的に広げていければ」と話す。