避難所の福祉支援強化 高齢化対応で計画改定(中央防災会議)

2024年0708 福祉新聞編集部
車中泊避難者を把握することも訓練が必要だとした=中央防災会議資料より

政府の中央防災会議(会長=岸田文雄首相)は6月28日、国や自治体の災害対応の柱となる防災基本計画を改定した。避難所で暮らす被災者に対し、福祉的支援を行うことを総則に追記した。現在の計画は、被災者の健康状態を把握するといった保健衛生活動を自治体に求めている。今後は被災者の高齢化を反映し、より踏み込んだ支援を自治体に促す。

岸田首相は同日の会議で、災害応急対策や生活支援体制の強化方策について、制度改正の要否も含めて方向性をまとめるよう関係閣僚に指示した。

福祉的支援の具体例は、段ボールベッドや間仕切りを備蓄しておき、避難所開設当初から設置すること▽栄養バランスのとれた適温の食事や入浴、洗濯に必要な水を確保すること▽トイレカーを設置することなどだ。

1月の能登半島地震では高齢者が多数被災した。避難所の設備が不十分で、断水の長期化も問題となった。避難生活のストレスから健康を害し、「災害関連死」に認定される人も増えている。それを踏まえ、政府は避難環境の改善を進める。

在宅や車中泊にも着目

また、自宅で避難生活を送る人を支援する拠点や、自家用車に寝泊まりする人(車中泊)の駐車スペースをあらかじめ設置しておくことも要請。避難所以外で暮らす被災者にも物資や情報を提供するよう自治体に促した。

防災訓練の基本方針となる国の大綱にも、在宅避難者や車中泊する人の状況を把握する観点から、社会福祉協議会や福祉事業者と連携した訓練に努めるよう明記した。

ケースマネジメント

とりわけ、被災者一人ひとりの個別支援計画に基づき、関係者が継続的に支える「災害ケースマネジメント」を訓練に取り入れるよう求めた。

防災基本計画は災害対策基本法に基づいて中央防災会議が定めるもの。2014年以降は毎年、その一部が修正されている。自治体は基本計画に沿って地域防災計画を作る。